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韓国の特許法施行規則等の一部改正
韓国の特許法施行規則等の一部改正
韓国で、特許法施行規則及び実用新案法施行規則が改正され、2020年3月30日から施行されていますので、その主な内容についてご案内申し上げます。
1.明細書形式の緩和
従来の「特許請求の範囲の猶予」制度を拡大する形として、特許法所定の明細書要件に依らず、自由な形式で特許または実用新案登録出願を行うことにより、早く出願日を確保することが可能となりました(特許法施行規則第21条5項)。
これにより、米国の仮出願と同様、例えば、論文、研究ノート、標準化技術書等をそのまま韓国へ出願することが可能です。電子ファイルでも提出可能で、拡張子がpdf, ppt, pptx, doc, docx等の電子ファイルであれば、そのまま出願することができます。
但し、「特許請求の範囲の猶予」の一形態であるため、優先日等から1年2ヵ月以内に、クレームを含み、特許法所定の明細書要件を満たす明細書を提出しなければ、みなし取り下げとなります(特許法第42条の2、2項及び3項)。
今回の改正により、例えば、英語(日本語は認められません)の研究ノート、技術書、論文等をそのまま韓国へ第1国出願することにより優先日を早めに確保し、後に優先権主張を伴った日本出願を行うことが考えられます。
この場合、韓国の先出願は、正規の出願として認められるとなっており、また、仮に(特許法所定の明細書要件を満たす明細書等を提出しなかったため)その1年2ヵ月後に取り下げと見做された場合でも、日本で優先権主張出願を行う時点では韓国の先出願は正規の出願として有効に存在しているため、日本出願時の優先権主張は可能です。
2.匿名での情報提供
第三者が、特定の特許出願または実用新案登録出願に対し、拒絶理由に該当する情報をその証拠とともに特許庁へ提供する、情報提供が匿名でも可能となりました。
但し、匿名で情報提供を行った場合は、その活用結果について通知されません。
なお、上記の韓国語での情報は、
http://www.law.go.kr/법령/특허법시행규칙 及び、
http://www.law.go.kr/법령/실용신안법시행규칙
から入手することができます。
本欄の担当 副所長 弁理士 吉田 千秋
韓国弁理士 柳光煕(ユ・ガンヒ)