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韓国特許法の一部改正法の施行等
2020年5月21日付でお知らせしました韓国特許法の一部改正法が2020年12月10日より施行を迎えており、改めてご案内申し上げます。
1.改正の内容
改正法律によりますと、特許権者等の生産能力を超える範囲についても、損害賠償を受けられることが具体的に明文化しました。
詳しくは、侵害行為に対する損害賠償額を算定する際に、特許権者等の生産能力を超えない範囲の部分においては、単位数量当たりの利益の額を乗じて得られる額に、一方で、生産能力を超える範囲の部分においては、合理的に認められる実施料率を乗じて得られる額に基づいて、それぞれ損害賠償額を算定し、足し合わせるように規定されました。
2.コメント
今回、韓国の改正特許法の施行は、今年4月より施行中の日本の特許法における損害賠償額算定方法の見直しと同様なもので、また、一昨日の2020年12月1日には、同様の内容の意匠法、商標法、並びに、不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の改正案が揃って韓国国会を通過した(いずれも、2021年6月頃より施行の予定)ことにより、著作権法を除いた、主な知的財産関連法律において、損害賠償額の算定基準が統一し、侵害行為に対する権利者への保護が強化されることになります。
更に、韓国の場合は、特許法、意匠法、商標法、並びに、不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律でともに、既に施行されている、いわゆる、懲罰的損害賠償(故意の侵害者に対し、算定損害額の最大3倍まで認定可能)との上昇効果が期待されるものと言えます。
上記の改正規定は、いずれの法律においても、施行日以降に損害賠償の請求が行われる件より適用されるため、特許の場合は、一週間後の2020年12月10日以降の損害賠償請求の件から対象となります。
なお、上記の韓国語での情報は、
http://likms.assembly.go.kr/bill/billDetail.do?billId=PRC_W2K0K0I8K2T1F1B0K5W2H2U1M1Z9R4
http://likms.assembly.go.kr/bill/billDetail.do?billId=PRC_I2Y0X0Q8C2K1G1B0Y2C6Y4J2S7K3J5
及び
http://likms.assembly.go.kr/bill/billDetail.do?billId=PRC_Z2D0C0W8W2G1N1X0G3K6R4V6O2N6N3
から入手することができます。
- 本欄の担当
- 所長 弁理士 伊東 忠重
副所長 弁理士 吉田 千秋
担当:韓国弁理士 柳 光煕