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韓国実用新案法等の一部改正案の国会通過

韓国実用新案法及び意匠法の一部改正案が2022年5月29日に韓国国会を通過したことにつきまして、ご案内申し上げます。

 

1.改正の内容: 実用新案権及び意匠権の侵害における親告罪要件を廃止

 今回、韓国国会を通過した実用新案法及び意匠法の改正法律によりますと、侵害罪を問うために求められてきた実用新案権者/意匠権者等の告訴に関する要件が削除されることにより、起訴を望まないという実用新案権者/意匠権者側の意思が明確に示されない限り、実用新案権者/意匠権者等の告訴がなくても、実用新案権や意匠権等の侵害者に対して侵害罪で処罰することが可能となります。

 本改正は、親告罪の場合、一般の刑事法令より告訴期間が認知日から6ヵ月と限られているため、従来の侵害罪の要件では、刑事的な処罰を与えることによる、侵害行為の抑止が上手く機能しないという問題意識から改正されたものです。

 なお、今回の改正により、韓国の知財4法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)のいずれにおいても、原則、権利者側の告訴がなくても、司法当局の認知及び捜査から侵害者に対し刑事的な責任を負わせることが可能となりました。

 

2.コメント

 この法改正は、2019年3月から運用されている、韓国特許庁所属の特別司法警察の取り締まりや捜査の強化を皮切りに、2020年10月から施行中の特許法での親告罪要件廃止に続いて、実用新案や意匠においても同規定を導入したもので、こういった一連の動きには、既に施行されている損害賠償額算定方法の見直しや、懲罰的侵害賠償制度の導入とともに、権利の種類を問わず、安易な侵害行為を抑止し、知的創作物による権利が形骸化してしまうことを避ける狙いがあるものと言えます。

 

3.その他

 今回の改正法律は、いずれも、今月韓国政府より公布されると同時に施行されます。また、今月中と見込まれる施行日(現時点で具体的な日付は未定)以降に発生する侵害行為より適用が始まります。

 

 なお、上記の韓国語での情報は、

http://likms.assembly.go.kr/bill/billDetail.do?billId=PRC_Q2K1F0C1V1S8P1M3B2C9Z5K7Z9O9C8、及び http://likms.assembly.go.kr/bill/billDetail.do?billId=PRC_F2O1Q0N1X1J8Q1P3M3N1Z3B4Z7Y9X5 から入手することができます。

本欄の担当
伊東国際特許事務所
所長 弁理士 伊東 忠重
副所長 弁理士 吉田 千秋
担当:韓国弁理士 柳 光煕
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