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韓国、二次電池関連技術の出願が特許優先審査の対象に
韓国における特許優先審査対象の一つとなっている重要先端技術に、2024年2月19日施行として二次電池関連技術が追加されましたので、その背景や内容についてご案内申し上げます。
1. 優先審査対象としての重要先端技術
韓国では、2022年11月より、国家競争力に関わる先端技術の特許出願(実用新案出願も同様、以下同)について、特許庁長官の公告により指定された分野の特許出願を優先審査の対象としています(1年毎にその必要性を判断する運用)。
本制度の施行とともに最初に指定されたi)半導体関連技術に続いて、一年後の2023年11月には、ii)ディスプレイ関連技術が新たに対象に追加され、半導体関連技術に関しても1年延長となりました。それに、更に今般、iii)二次電池関連分野が3番目の先端技術関連優先審査の対象になった次第です。
2. 韓国における二次電池分野出願の動向
電気自動車を含め、環境負荷の少ないモビリティ産業の中核として盛んである二次電池分野の特許出願は、直近5年間で、年平均11.9%増加しており、これは、韓国の特許出願全体の増加率(同期間で年平均2.6%)の4倍を上回っているものです。
3. 対象要件や、手続き、効果
(1)優先審査の対象要件
二次電池や、二次電池の材料、部品、製造装置などの製造や設計技術等に直接関わる特許出願または実用新案登録出願であって、次のいずれかに該当する出願であることを要件とします。
ⓐ 二次電池関連製品や装置等を韓国国内で生産または生産準備中である企業の出願、
ⓑ 二次電池技術に関連する国家研究開発事業の結果物に関する出願、又は
ⓒ 所定の法律に定まる二次電池特性化大学(大学院を含む)の出願
なお、上記「直接」に関して、例えば、二次電池を搭載した車等のように、二次電池分野の技術を他分野に適用した出願は、優先審査の対象でありません。
(2)申請の手続き
2024年2月19日~2025年2月18日の間(その後も、延長される見込み)に、優先審査を申請するとともに、証明書類や20万KRW(実用新案登録出願の場合は、10万KRW)の庁手数料を納付することが求められます。
(3)効果
これまで二次電池分野の平均審査処理期間22.9ヵ月だったのが2.0ヵ月に大幅に短縮されると期待されます。
4. コメント
今回の運用拡大には、韓国の産業に欠かせない二次電池技術に対し、早期権利化を通じてサポートする狙いがあり、韓国以外の外国企業であっても、韓国国内で生産または生産準備中であれば、適用対象となります。
今後におきましても、バイオ関連技術の出願が優先審査対象に加わる予定となっており、韓国でビジネスを行っている、または行う予定の企業様等にとってはご注目されるところと考えます。
上記の韓国語での情報は、https://www.kipo.go.kr/ko/kpoBultnDetail.do?menuCd=SCD0200618&ntatcSeq=20022&sysCd=SCD02&aprchId=BUT0000029 から入手することができます。
- 本欄の担当
- 伊東国際特許事務所
所長 弁理士 伊東 忠重
副所長 弁理士 吉田 千秋
担当:韓国弁理士 柳 光煕