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改正韓国知的財産法
韓国における知的財産法(特許法、商標法、等)の改正案が2024年12月27日付で韓国国会を通過いたしました。当該改正法は、2025年1月1日に実施された、または2025年7月に施行予定です。
その主な改正内容は、以下のとおりです。
1.特許法(2025年7月施行予定)
1)発明の実施行為
– 従来の特許法で規定された発明の実施行為に「輸入」のみ規定していたが、新たに「輸出」を追加する。
– 輸出行為に対して特許法上の侵害禁止および損害賠償の請求、さらに侵害罪を問うことが可能となる。
2) 特許権存続期間延長(2025年7月施行予定)
– 特許発明(医薬品・農薬)の実施に必要な許可等によって実施できなかった期間分を特許存続期間を5年以内で延長させる制度である。
–(期間制限)延長された存続期間が許可等を受けた日から14年を超えないように規定する。米国・中国(14年)、欧州(15年)は制限あり、日本は制限なし。
–(対象制限)1個の許可などに対して1個の特許権のみ期間延長が可能となる。同一の医薬品等に対する複数の出願(物質、用途、剤形など)によって存続期間が実質的にさらに延長されることを防ぐためである。ジェネリック医薬品の発売可能日が繰り上げられる可能性がある。米国・欧州・中国(1個)は制限あり、日本は制限なし。
–(その他)存続期間延長の起算点、存続期間延長出願の放棄等の効果を明確に規定する。
3)国防上、必要な発明の制限の罰則規定(2025年7月施行予定)
– 国防上必要な場合に、外国への特許出願の禁止などの権利制限規定に違反した場合に対する罰則規定(懲役または罰金)を新設する。
– 最近、韓国の武器関連技術開発(例:FA-50、K-9自走砲、K2戦車)が活発になった状況を反映したものである。
2.商標法(2025年7月施行予定)
1)異議申立
– 商標登録出願書類及び附属書類の閲覧期間及び商標登録出願に対する異議申立期間を現行の2ヶ月から30日に短縮する。
– 商標登録決定の時点が繰り上げられ、全体の審査処理期間の短縮に寄与することが期待される。
2)損害賠償額
– 故意に商標権または専用使用権を侵害した者の損害賠償額の限度を損害と認められた金額の3倍から5倍に引き上げる。
3.その他(2025年1月1日施行)
1)審判実務
– 特許およびデザイン登録に対する拒絶決定不服審判で登録決定が妥当である場合、審査局に差し戻さず審判官が審決として登録決定して登録を促進する。
2)公正取引法の実務
– 不公正取引行為として特許訴訟を乱発し、競争事業者の顧客を自分と取引するよう誘引する場合、公正取引法違反で制裁する。
- 本欄の担当
- 弁理士法人ITОH
所長 弁理士 伊東 忠重
副所長 弁理士 吉田 千秋
担当:韓国弁理士 金 世永