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米国地裁・レメルソン事件
2004年1月23日に、米国特許権侵害への抗弁として prosecution laches を認めたレメルソン特許に関する判決(ネバダ州連邦地裁)が出ましたのでお知らせ申し上げます。
レメルソン氏は、個人発明家で、自身のサブマリン特許をもとに、多くの日本企業から多額のライセンス収入を得ています。
本判決では、1954年及び1956年の出願に基づいて継続出願を繰り返し、特許審査を遅延させて成立した特許は、prosecution laches の抗弁により、権利行使不能であると判示しています。 具体的には、出願審査が、正当な理由がなく(unreasonable)遅延され、更に、遅延となった理由につき説明がない(unexplained)場合には、たとえ特許が成立しても、prosecution laches の抗弁が成立するとされています。
本件は、連邦巡回控訴裁判所(CAFC)から地裁に差し戻されていた事件であり、再度CAFCに控訴される可能性は否定できません。 しかしながら、出願から特許に至るまで長期間を費やしたり、米国にのみ出願し非公開の請求を行う可能性のある個人発明家からの攻撃対象になり得る日本企業にとって、防御策の1つとしてprosecution laches の主張も考慮に値すると思われます。
- 本欄の担当
- 弁理士 大貫進介
弁理士 吉田千秋
弁理士 伊東忠重