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韓国発明振興法の一部改正

 韓国発明振興法の一部改正法律案が、2013年6月25日に韓国国会にて可決され、同年7月30日に公布されました。この改正法は2014年1月31日に施行される見込みです。
 今般の韓国発明振興法の改正法では、従業者等に対する補償文化の拡散を通じて職務発明の活性化を図る内容がその中心となっており、その主な改正点は次の通りです。

1.大手企業には、予約承継しない限り、法定通常実施権を認めない

 現行法においては、使用者等が大手企業であれ、中小企業であれ、使用者等と従業者等との間での予約承継の契約関係の有無に関わらず、使用者等には、法定通常実施権が認められて来ました。しかし、改正法においては、大手企業である使用者等が、従業者等との間に、予約承継の契約関係を結んでいなければ、当該使用者等には、その法定通常実施権が認められません(改正法第10条1項の但し書き部分)。
 この改正は、大手企業に対し、従業者の職務発明に対する事前の契約関係を明確にすることを誘導し、終局的には、従業者が弱い立場にもかかわらず、自らの発明について正当に補償されるようにする趣旨です。

2.職務発明補償の際に、その基準、支払方法、補償額等に対する明示義務

 現行法においては、使用者等と従業者等との間の補償規定が適法であるか否かを判断する際に、関連事情を総合的に考慮して判断するようになっておりましたが、改正法においては、使用者等は、従業者等に対し、補償額算定の基準、支払方法、補償額等を明記した書面を提示しなければならなくなりました(改正法第15条2項および同条4項)。
 この改正は、従業者等が補償額等をめぐり、紛争に巻き込まれることを抑制し、従業者等への職務発明補償が確実に行われるようにする趣旨です。

3.従業者等の手続き上権利の強化

 改正法においては、職務発明補償規定を従業者等に不利に変更する場合は、従業者等の過半数の同意を得なければならないことになりました(改正法第15条3項)。また、職務発明に対し、使用者等との間で意見が異なる場合は、従業者等は、職務発明審議委員会での審議を要求することができることになりました(改正法第17条、18条)。
 この改正は、従業者等の交渉力や手続き上の権利を強化し、従業者等が適切に職務発明補償を受け取り、職務発明において、バランスのとれた補償文化を拡散しようとする趣旨です。

4.その他

(1)韓国国内において、雇用先を創出するために、産業財産権サービス業を育成・支援するための根拠規定を新設
(2)発明教育の強化のためのインフラ整備
(3)研究ノート活用の促進策 等

本件に関するお問合せがございましたらips@itohpat.co.jpまでお願いします。

以上

本欄の担当
副所長・弁理士 吉田 千秋
韓国弁理士 柳光煕(ユ・ガンヒ)
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