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裁判所管轄についての中国最高人民法院の司法解釈

 2013年4月14日、中国最高人民法院(日本の最高裁に当る)は司法解釈を公布し、特許、実用新案、意匠を含む専利紛争事件(侵害訴訟等)の第1審の管轄裁判所の階級を、これまでの特定の中級人民法院から、一般の地方都市や区レベルの地方下級裁判所に下げることを発表しました。

 2001年7月1日に施行された司法解釈は、各省(日本の県に当る)、自治区、直轄市の地方政府所在地の中級人民法院(裁判所)および最高人民法院が指定した中級人民法院という特定の中級人民法院だけに、特許、実用新案、意匠を含む専利紛争事件の第1審の管轄権を与えました。しかしその後、専利紛争事件が年々増えてきたため、2009年から、浙江省義烏市人民法院、江蘇省昆山市人民法院、および北京市海淀区人民法院の3つの地方下級裁判所に、実用新案と意匠をめぐる専利紛争事件の第1審をテスト的に審理させてきました。その経験を踏まえ、今年4月15日から、最高人民法院は、専利紛争事件を審理する能力のある地方下級人民法院を専利紛争事件の第1審を受理する裁判所に指定することができるようになりました。ただし、専利紛争事件を審理する能力があるかどうかの判断基準はまだ公開されていません。

 これまでも中国では、民事訴訟は権利侵害行為発生地又は被告住所所在地に一番近い特定の中級人民法院の管轄に属するものとされているため地方保護主義などが時々話題になっていました。これからは特許、実用新案、意匠をめぐる侵害訴訟を審理できる下級裁判所が増えるため、今までの特定の中級人民法院よりも更に被告の住所所在地に近い地域の下級裁判所で審理を行うケースが増え、地方保護主義の問題が益々起こりやすくなるのではないかと、国内外から心配する声があるようです。そういう意味ではこれから最高人民法院がどのような基準で下級裁判所を第1審裁判所に指定し、どのように審理の基準を統一して地方保護主義を防ぐかが注目されます。

なお、上記の中国語での情報は、以下のサイトから入手可能です。

以上

本欄の担当
中国弁理士 経 志強
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