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FESTO裁判の13回目のCAFC判決 Festo事件
2007年7月5日、Festo v. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Co. Ltd.の一連の裁判の13回目の判決がCAFCにて下されました。
(http://www.fedcir.gov/opinions/05-1492.pdf)。
2001年の米国最高裁判所によるFesto判決によれば、補正の結果として均等論の適用は原則として排除すべきであるが、補正時に均等物が予測可能ではなかった場合には例外的に均等論を適用し得るという考えが判示されました。従って、均等物が予測可能であったか否かの判断が非常に重要な問題となりました。
今回のCAFCの裁判において、Festo側は、上記予測可能性を判断するにあたり、機能・手法・効果(function/way/result)が考慮されるべきであると主張し、補正時において予測可能であったと言えるためには、均等物が機能・手法・効果の条件を満たしていることを特許出願人が知っていたことが必要であると主張いたしました。なお、この機能・手法・効果(function/way/result)は、均等か否かを判断する基準として、1950年の最高裁グレーバタンク事件で判示されたものです。
今回のCAFC判決(3人の判事による2対1の判決)では、このFesto側の主張を退け、予測可能性の判断にあたっては機能・手法・効果を考慮する必要はなく、当該技術分野において従来技術として開示されていたものは予測可能なものであるとの判断を示しました。当該技術分野において、補正前のクレーム範囲に含まれていた或る代替物の存在が知られていれば、その代替物が補正後のクレーム発明の目的に適したものであるか否かは不明であったとしても、その代替物は予測可能なものであると判示されました。
- 本欄の担当
- 弁理士 大貫進介
弁理士 吉田千秋
弁理士 伊東忠重