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特許法施行規則改正を違法とする地裁略式判決の一部を容認、一部を破棄差戻し 米国CAFC
2009年3月20日、米国の連邦巡回控訴裁判所(CAFC:Court of Appeals for the Federal Circuit)は、再審査(RCE)及び継続出願の回数制限などを含む特許法施行規則の改正は違法とする連邦地裁の略式判決について、その一部を容認、一部を破棄差戻しとする内容の判決を下した。
本件の経緯:
米国特許庁は、「①原則として、継続出願を2回のみ認め、②原則として、RCEを1回のみ認め、③独立クレームの数が5、クレームの総数が25を超える場合には、ESD(Examination Support Document)の提出が求められる」という内容の特許施行規則の改正を、2007年11月1日に施行する予定であった。この規則改正に関して、バージニア東地区連邦地裁により仮処分差し止めが認められ、その後、違法である旨の略式判決が出された。これに対して、米国特許庁はCAFCに控訴していた。
CAFC判決の内容:
「① 原則として、継続出願を2回のみ認める」との規則改正については、所定の要件を満たしさえすれば原出願の出願日の利益を享受できるとした特許法120条に新たな要件を追加するものであって無効である、との判断をCAFCは示した。即ち、地裁判決を容認した。
「② 原則として、再審査(RCE)を1回のみ認める」との規則改正については、特許法132条は回数に制限無くRCEを認めることを要求してはおらず、この規則改正は特許法132条に相反するものではない、との判断をCAFCは示した。即ち、地裁判決を破棄した。
「③ 独立クレームの数が5、クレームの総数が25を超える場合には、ESDの提出が求められる」との規則改正については、米国特許庁がESDを要求することを禁止するような合理的理由はない、との判断をCAFCは示した。即ち、地裁判決を破棄した。
今 後:
「② RCEを1回に制限」及び「③ ESDの提出要求」の規則改正を違法とすることについては、連邦地裁による更なる審理のため、破棄差し戻しとなった。CAFCはその判決文の中で、連邦地裁において審理すべき事項を列挙しており、既に出願済みの(USPTOに係属中の)出願に対して遡及的に改正後の規則を適用することの適法性等が、更なる審理事項とされている。なお、CAFCの大法廷(オンバンク:enbanc)によるヒアリングが求められる可能性もあり、今後の展開を更に見守る必要がある。
CAFC判決文:
- 本欄の担当
- 弁理士 吉田千秋
米国オフィスIPUSA 特許弁護士 Martin Weeks