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東日本大震災に伴う海外特許庁の特別措置

 3月17日、米国特許庁のカッポス長官はこの度の東日本大震災に伴う米国特許庁の特別措置に関する声明を発表致しました(USPTO長官声明)。
 以下はその要約です。

(1) 特許出願

① 3月11日までに係属中の特許出願や再審査手続
応答期限以前の場合は、出願人の申請があれば、庁からのオフィスアクション等の書類を取り下げ、新たに再発行されます。
② 年金の支払いに関して
今般の震災によって年金の支払いう行うことができなかった場合は、6ヶ月の猶予期間中の年金支払い追加費用と、更に請願書も提出すれば年金の遅延支払い追加費用も免除されます。
③ 本特別措置の米国特許庁からの注意点
3月10日以降に年金支払い期限があり、今般の震災の為に期限を過ぎて年金の支払いを行う場合には、年金の支払いの際に、Petition to Accept Unintentionally Delayed Payment of Maintenance Fee in an Expired Patent (37 CFR 1.378(c))、更に今般の長官の声明文のコピー、或いはForm PTO/SB/425を速やかに提出する必要があります。
④ 2011年3月11日から2012年4月12日までに提出する、新規出願に関して
今般の震災の為に、宣言書、ファイリング料金、サーチ料金、審査料金等をレイトファイルする場合、本来追加料金が発生する場合であっても、追加料金は免除されます。

(2) 商標出願・登録に関して

① 3月11日までに係属中の商標出願・登録
3月11日付けで係属中の出願について、応答期限以前の場合は、出願人の申請があれば、庁からのオフィスアクション等の書類は取り下げられ、再発行されます。
② 今般の震災による支払い遅延により、放棄となった場合
今般の震災によって年金の支払いを行うことができなかった場合は、放棄となった出願、取り消しとなった登録の復活費用(但し、法律ではなく、規則により定められた復活費用の場合)は免除されます。

(日本語要約 IPUSA PLLC 米国パテントエージェント・有馬佑輔)

 なお、米国以外の主要特許庁については、現地代理人等に確認したところ以下の通りとなっています。

■欧州

 新規出願につき、優先期間の延長は認められませんが、日本語で欧州出願を行うことができます。
 延長が認められないオフィスアクションへの応答については、現地代理人によれば、exceptional extension of term を提出することにより、応答期間の延長が認められる可能性があるとのことです。

■韓国

 指定期間は、期間延長申請により期限を延ばすことができます。拒絶理由通知に対する期間延長は、原則的に4月に限定されますが、今般の地震の影響を受けて手続ができなかった事情を説明する文書を提出すれば、4月以上の期間延長が可能です。
 拒絶査定に対する審判請求に関しては、地震の影響を受けて所定期間内に手続ができなくなった事情を説明する文書を提出すれば、手続が可能となってから14日以内に手続を行うことができます。但し、所定期間経過後1年以内(日本の場合、6月以内)に限られます。
 特許料の追加納付期限(特許料の納付期限経過後6月)に関し、今般の地震の影響を受けて特許料の追加納付期限内に納付ができなくなった事情を説明する文書を提出すれば、納付が可能となってから14日以内に納付することが可能です。但し、特許料の追加納付期限経過後6月以内に限られます。

(以上 閔泰皓・韓国弁理士が韓国特許庁に直接確認)

■台湾

 法定期限を徒過しても30日以内に手続をとれば、回復可能です。但し、この取り扱いは、法定期限から1年を過ぎていないことが条件となります(台湾特許法17.2)。

■タイ

 現地代理人より、「阪神淡路大震災のときは無く、逆にインド洋地震の際に日本特許庁の特例措置もなかった。相互主義なので今回もないと思われる。」との回答がありました。

■その他の主な特許庁

 その他の主な特許庁につきましては、現時点では特例措置は無い、との回答を各国の代理人から得ております。

以上

本件に関するお問合せ先:ips@itohpat.co.jp

本欄の担当
副所長弁理士 伊東忠重
韓国弁理士 閔泰皓
IPUSA PLLC 米国パテントエージェント 有馬佑輔

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