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国際協力

日韓でPCT-PPHの試行

 2012年6月4日、日本国特許庁と韓国特許庁は、PCT国際段階における成果物を利用した特許審査ハイウェイ(以下、「PCT-PPH」と略称します)を試行することに合意しました。これによって、これまで両庁の間で進められてきた特許審査ハイウェイ(PPH)の対象案件がさらに拡大されることになります。

 以下、日韓PCT-PPHの試行期間、申請要件、提出書類、及びその効果について紹介いたします。

1.試行期間

 2012年7月1日から2014年6月30日までです。

2.申請要件

 PCT-PPHの申請がなされた韓国特許庁への出願が下記の要件を満たしている必要があります。

(1)当該出願に対応する国際出願の国際段階における成果物、すなわち国際調査機関が作成した見解書(WO/ISA)、国際予備審査機関が作成した見解書(WO/IPEA)及び国際予備審査報告(IPER)のうち、最新に発行されたものにおいて特許性(新規性・進歩性・産業上利用可能性のいずれも)「有り」と示された請求項が少なくとも1つ存在すること。

・ ただし、上記WO/ISA、WO/IPEA、IPERは、韓国特許庁又は日本国特許庁が国際調査機関(ISA)、国際予備審査機関(IPEA)として作成したものに限ります。優先権主張の基礎となる出願はいずれの庁に出願されたものであっても構いません。
・ 国際調査報告(ISR)のみに基づいてPCT-PPHを申請することはできません。

(2)当該出願と対応する国際出願は、下記のいずれかの関係を満たすこと。

(i)当該出願は、対応する国際出願の国内段階である。
(ii)当該出願は、対応する国際出願のパリ条約に基づく優先権主張の基礎となっている。
(iii)当該出願は、対応する国際出願をパリ条約優先権主張の基礎とする国際出願の国内段階である。
(iv)当該出願は、対応する国際出願を国内優先権主張又はパリ条約優先権主張の基礎とする国内出願である。
(v)当該出願は上記(i)~(iv)のいずれかを満たす出願の派生出願(分割出願、国内優先権を主張する出願等)である。

(3)PCT-PPHに基づく早期審査を申請する当該出願の全ての請求項が、出願当初のまま又は補正されて、対応する国際出願の最新国際成果物おいて特許性有りと示された請求項のいずれかと十分に対応していること。

・ 差異が翻訳又は請求項の形式によるものであり、韓国特許庁の請求項が最新国際成果物において特許性有りと示された請求項と同一又は類似の範囲を有するか、韓国特許庁の請求項の範囲が最新国際成果物において特許性有りと示された請求項の範囲より狭い場合に、請求項は「十分に対応」するとみなされます。
・ 最新国際成果物において特許性有りと示された請求項に対し、新たな又は異なったカテゴリーの請求項は十分対応しているとものとみなされません。
・ 最新国際成果物において特許可能と判断された「すべての」請求項を含めることは要求されません。つまり、請求項の削除は許容されます。
・ 実体審査前に補正された又は加えられた請求項は、最新国際成果物において特許可能と示された請求項と十分に対応していることが要求されます。

(4)審査請求がなされていること。
 PCT-PPHに基づく早期審査の請求は、審査請求が完了しているか、或いは、審査請求と同時に行う必要があります。
 PCT-PPHに基づく早期審査の請求は、実体審査が始める前だけではなく、実体審査が既に始まっていても可能です。

3.提出書類

 早期審査申請書及び早期審査申請説明書を提出すると共に、以下の(1)~(4)の書類を添付して提出しなければなりません。

(1) 特許性有りとの判断が記載された対応する国際出願の最新国際成果物の写しとその翻訳文
(2) 対応する国際出願の最新国際成果物で特許性有りと示されたすべての請求項の写しとその翻訳文
(3) 対応する国際出願の最新国際成果物で提示された文献の写し
(4) 請求項対応表

4.効果

日韓PCT-PPHを利用すれば、韓国特許庁において、審査請求日からファーストOAを受けるまでの期間が短縮されます。
 韓国特許庁は、2011年のデータに基づき、日韓PCT-PPHを利用することで、審査請求日からファーストOAを受けるまで期間が「16.8ヶ月」から「2.2ヶ月」に短縮されると予想しています。

日韓PCT-PPHにおける韓国特許庁への申請の要件及び提出書類の詳細につきましては、下記をご参考下さい。
本欄の担当
韓国弁理士 閔泰皓(ミンテホ)
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