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ヘーグ協定及び特許法協定実施法案にオバマ大統領が署名
2012年12月18日にPatent Law Treaties Implementation Act of 2012(特許法協定実施法案)が米国のオバマ大統領によって署名されました。本法案は署名から1年後の2013年12月18日に施行されます。本特許法協定実施法案により、工業デザインの国際出願に関わるヘーグ協定ジュネーブ法(下記1)と特許法協定を実行する為に特許法が改正されることになります(下記2)。
1.工業デザインの国際出願に関して
本特許法協定実施法案によって、米国特許法35 U.S.C.に38章が追加されました。主な要点は以下のようになります。
国際デザイン出願のファイリング
・米国籍、米国内に住居を有する者、または企業は米国特許商標庁に国際デザイン出願を行うことが可能であり、送付手数料納付後に国際事務局にて受領される。
・米国内で発明された工業デザインに係わる国際デザイン出願は、(1)米国以外の国、(2)国際事務局、或いは(3)政府間組織に出願された場合、外国における出願日が得られる。
出願日
・米国における国際デザイン出願日が有効登録日となる。また、米国を指定した国際デザイン出願は、米国特許法16章の規定を満たす限りにおいて、米国特許法16章のデザイン出願として認められる。
優先権
・米国出願には、特許法119条、172条に基づき、米国以外に少なくとも一つの国を指定する先の国際デザイン出願に基づく優先権が与えられる。
・また、米国を指定する国際デザイン出願には、特許法119条、172条、ヘーグ協定ジュネーブ法とその規則に基づき、i) 先の外国出願、ii) 米国以外の少なくとも一つの国を指定する、特許法351条(c)に規定される先の国際出願、或いはiii) 米国以外に少なくとも一つの国を指定する先の国際デザイン出願、を基にした優先権が与えられる。
・また、米国を指定する国際デザイン出願は、米国特許法120条に基づき、i) 先の米国出願、ii) 米国以外の少なくとも一つの国を指定する、特許法351条(c)に規定される先の国際出願、或いはiii) 米国を指定する先の国際デザイン出願、を基にした優先権が与えられる。また、米国出願は、先の米国を指定する国際デザイン出願の出願日の利益が与えられる。尚、米国以外の少なくとも一つの国を指定するが米国発ではない、特許法351条(c)に規定される先の国際出願、或いは 米国を指定するが米国発ではない先の国際デザイン出願、を基にした先の出願の出願日の利益を主張する場合、特許庁長官は上記の先の出願の証明書付コピーと、英語以外の場合はその英翻訳の提出を要求する。
特許期間
・デザイン特許の特許期間は14年から15年となる。
2.特許法協定(Patent Law Treaty)の実施に係わる特許法改正に関して
出願日
・ 出願日は、クレームの有無に係わらず、少なくとも明細書と必要であれば図面を米国特許商標庁に提出することで与えられる。出願料金、宣言書、一つ以上のクレームは、追加料金と共に上記出願日以降の規定期間内に提出可能。また、その際には、先に提出した明細書と図面のコピーを提出しなければならない。上記規定期間に上記出願料金、宣言書、一つ以上のクレーム、追加料金を提出しない場合は、出願が放棄と見做される。
出願、再審査の復活
・ 特許庁長官は、出願人や特許権者によるペティション提出による、意図せず放棄となった出願の復活、意図せず期限を過ぎた場合の登録料の受領、意図せず期限を過ぎた場合の再審査における応答書の受領に関する手続きを定める。
優先権の復活
・特許法119条、365条(c)が一部改正され、外国出願、仮出願、PCT出願に基づいた優先期間が延長可能となり、意図しなかった場合は、優先期間を12ヶ月から2ヶ月延長可能とする。
所有権の登録
・特許法261条が一部改正され、米国特許商標庁は、特許或いは特許出願の所有権の登録を維持するものとし、上記所有者の要求に応じてそれに関連する如何なる文書も記録しなければならない。
以上
- 本欄の担当
- 副所長・弁理士 吉田 千秋
米国オフィスIPUSA PLLC パテントエージェント 有馬 佑輔