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韓国特許法等の一部改正案の国会通過
2016年2月4日に、韓国特許法及び実用新案法の一部改正案が、韓国国会を通過しました。韓国特許法及び実用新案法の改正内容は、次のとおりです。
1.特許権等の取消申請制度の導入
誰でも、先行技術情報に基づいた事由(新規性、進歩性、先願主義等)により、登録公告後6か月迄に、特許権等の取消を申請することが可能となります。
本制度は、日本の異議申立制度に相当するものであって、本制度の導入により、瑕疵のある権利を早期に取り消すことが可能となります。
2.特許出願の審査請求時期の短縮
特許出願の審査請求時期に関し、現行法においては出願日より5年となる日迄でありましたが、改正法においては出願日より3年となる日迄にと短縮されます。
一方、実用新案出願の場合は、現行において出願日より3年となる日迄にであって、改正法においても変わりはありません。
3.共有持分の譲渡等に関する制限廃止
現行法においては、特許等を受ける権利、若しくは、特許権等の共有者は、他の共有者全員の同意を得なければ、自分の持分の譲渡や、その持分を目的とした質権の設定を行うことが禁止されていますが、改正法においては、契約により定まっている場合を除いて、他の共有者の同意を得なくてもその持分の譲渡やその持分を目的とした質権の設定を行うことが可能となります。
これにより、活発な技術取引が促進され、特許技術の活用度が高まることが期待されます。
4.登録されていない通常実施権の保護強化
現行法においては、登録されていない通常実施権は第3者に対抗することができないですが、改正法においては、通常実施権について登録を行わなくても第3者に対抗することができるようになります。
これにより、未登録の通常実施権者が行う実施事業が保護されることになります。
5.職権再審査の導入
特許査定等があった後であっても、特許権等の設定登録が行われる前に審査官により拒絶理由が発見された場合には、審査官の職権により特許査定が取り消され、再審査が行われることが可能となります。
これにより、瑕疵のある権利を未然に防ぐ効果が期待されます。
6.正当権利者の保護強化
特許等を受ける権利を有する者は、無権利者の特許権等に対して、無効審判を請求する以外にも、裁判所にその特許権等の移転を求め、その判決に基づいて特許権等の移転登録を行うことが可能になります。
7.手続き補完期間の延長
特許に関する手続を行う者が、その責めに帰することのできない理由により、拒絶査定不服審判の請求、若しくは、再審の請求の期限を渡過した場合、その責めに帰することのできない理由が消滅した日より2年以内に該手続を補完することが可能になります(現行法においては、14日以内)。
本改正法律案は、韓国政府より未だ公布されていませんが、通常、国会通過後1ヶ月前後の時点にて公布されます。また、本改正法律案の場合、公布後1年となる日より施行される予定ですので、2017年3月頃より適用される見込みでございます。
以上
- 本欄の担当
- 副所長 弁理士 吉田 千秋
韓国弁理士 柳 光煕(ユ・ガンヒ)